フレット擦り合わせのご依頼を頂き、納品させて頂きました。
情報化が進み、擦り合わせのやり方が乗ってあるサイトや、いわゆる「やってみた」系の動画も多いので、改造や修理にご興味がある方には今更…かもしれませんが、参考にして頂ければ幸いです。
指板Rが9.5’、ジャンボ気味のフレット形状から、モダン仕様なストラトです。
ヴィンテージスペックの物より弾きやすく、扱いやすい仕様になっています。
7-8F辺りが一番減っていたので、そこを写真撮ればよかったですね(笑)
全体的に万遍なく減っていて、音詰まりやピッチが合わないなど、ちょっとしんどい状態です。
幸い、大きく背の高いフレットですので、擦り合わせても残りは6~7割程度の見込み。
今回はナットも減っているので、擦り合わせ後、余裕が出来なければナットも交換します。
フレット交換のタイミングは人それぞれで、残りが7割以下になるとすぐ交換!という方もいれば、5割以下でもまだ使える!という方もいます。(笑)
フレット形状にも寄りますが、個人的には6~7割以下になると弾きやすさ、ピッチの安定感がつらくなってくるので交換をお勧めしています。
結局は使っている方がどう感じているのかが大事ですので、その辺も考慮して提案させて頂きます。
当方では上図のような、弦を張っている状態(テンション)をシミュレートした状態で擦り合わせというやり方をしています。
この道具、購入時には大きすぎて置き場所にちょっと困りました。(笑)
通常の擦り合わせとテンションかけた擦り合わせ、どう違うの?と思われるかもしれません。
簡単に言えば、ちょっと時間かかりますが、フレットを無駄に削ることなく、正確に仕上げることが出来る…でしょうか?
近年はPLEKという機械制御の擦り合わせも有りますが、それのアナログ版と思って頂ければいいと思います。
PLEKは本体も維持費も置き場所や操作に困るので自分のような狭い個人店には置けません!
機械より人間の感覚を大事にしています!…とでもいえば格好がつくでしょうか?(笑)
通常の擦り合わせでも精度や仕上がりに大きく差は無いように作業出来ますが、ストレートの視方やロッドの効くポイント等、経験や勘に頼る部分も多く有ります。
そういう意味ではこのように視覚的に、物理的に判断出来て作業が出来るというのは説得力が違いますね。
必ずしもこのやり方でないとイケないというわけではないのですが…
擦り合わせ後整形。
この整形が地味に時間が掛かります。
工場で働いていた時は一日に十数本仕上げ、いい思い出です(笑)
お馴染みのstewmacのZ-file、これがあるとかなり楽になります。
もっと早く出会いたかったなぁ…
整形後、キズ消し~磨き上げになります。
完成後、オイルを塗ってセットアップ、ナット交換を行いお渡しですが、その写真を撮っておらず画像ここまでになります…(笑)
喜んで頂けた様でなによりです。
比較的、ギターは修理しやすい楽器ですが、ある程度の知識と道具が必須です。
ご興味がある方はしっかり準備したうえで行ってください。
粉塵や騒音の問題もあるので、ご自宅で作業して動画UPしている方は凄いなぁ…と思います(笑)
納期は通常1週間程でお預かりしております。
意外とギターを1本しかもっていない方が多く、お預かりが長いと練習できなくて手が鈍ってしまいますし、今週ライブなんで急ぎで!!という方もいらっしゃいますので、その状況次第ですが、なるべく早くお渡しできるように尽力しております。